宅建試験の勉強を進める中で、多くの受験生が最初につまずくのが「権利関係(民法など)」の分野です。「法律用語が難しくて頭に入らない」「問題文が長くて、誰が誰に何を請求しているのか分からなくなる」と悩んでいませんか?
この記事では、宅建試験における権利関係の全体像と効率的な勉強法、そして各頻出テーマの攻略ポイントを徹底解説します。
宅建試験における「権利関係」とは?
宅建試験における「権利関係」とは、主に民法、借地借家法、不動産登記法、区分所有法といった法律から出題される分野を指します。
全50問の試験のうち、**権利関係からは13~14問も出題されます。**宅建業法(20問)に次ぐウエイトを占めており、ここを避けて合格することは不可能です。
宅建業法や法令上の制限が「ルール(数字や条件)の暗記」の色合いが強いのに対し、権利関係は**「論理的思考力」**が問われます。「AさんがBさんに土地を売ったが、実はCさんにも売っていた。この場合、誰が土地の所有権を主張できるのか?」といった、具体的なトラブル事例を解決する力が求められるのです。
権利関係の効率的な勉強法
権利関係を暗記だけで乗り切ろうとすると、少し事例をひねられただけで正解できなくなります。法律の実務家も実践している、以下の3つの勉強法を取り入れてみてください。
【分野別】権利関係の頻出テーマと攻略ポイント
ここからは、権利関係で絶対に押さえておくべき頻出テーマの概要を解説します。
意思表示・代理
契約の土台となるルールです。「勘違い(錯誤)」や「騙された(詐欺)」場合に契約をどうなかったことにするのか、また、頼まれてもいないのに勝手に契約を結んでしまう「無権代理」などがよく問われます。
▼ポイント: 本人・代理人・相手方という三者の関係性と、「誰に効果が帰属する(責任を負う)のか」を図で整理しましょう。
第1問(虚偽表示と第三者) AとBが通謀してA所有の土地をBに売却したと仮装した。Bがその土地を善意のCに売却した場合、AはCに対して土地の返還を求めることができる。
解答
✖ 通謀虚偽表示による契約の無効は、善意の第三者に対抗することができません。したがって、Aは事情を知らない(善意の)Cに対して、土地の返還を求めることはできません。
第2問(錯誤取消しの要件) 錯誤による意思表示の取消しは、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときに限り、主張することができる。
解答
〇 ささいな勘違いで全て取り消せると取引の安全が害されるため、錯誤による取消しが認められるのは、その勘違いが契約の要素に関する「重要な錯誤」である場合に限定されています。
第3問(詐欺と第三者) AがBの詐欺により土地を売却する契約を結んだ後、Bがその土地を悪意のCに転売した。Aは詐欺を理由に契約を取り消して、Cから土地を取り戻すことができる。
解答
〇 詐欺による取消しは善意無過失の第三者には対抗できませんが、悪意(事情を知っている)の第三者に対しては対抗できます。Cは悪意であるため、Aは土地を取り戻せます。
第4問(強迫と第三者) 強迫によって意思表示をした者は、その強迫による意思表示を取り消すことができるが、その取消しは、善意無過失の第三者に対抗することができない。
解答
✖ 強迫による取消しは、詐欺の場合とは異なり、第三者の善意・悪意を問わず「常に」対抗することができます。強迫された被害者を強力に保護するためのルールです。
第5問(心裡留保の原則) Aが冗談で「自分の車を無償で譲る」とBに言った場合、Bがそれが冗談であることを知らなかったとしても、この意思表示は原則として無効となる。
解答
✖ 真意と違う発言(心裡留保)は、原則として「有効」です。ただし、相手方(B)が冗談だと知っていた(悪意)か、知ることができた(有過失)場合に限り、無効となります。
第6問(錯誤と表意者の重過失) 表意者に重大な過失があった場合でも、相手方が表意者の錯誤を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、表意者は錯誤による取消しを主張できる。
解答
〇 表意者に重過失があれば原則取り消せませんが、相手方も悪意や重過失である場合は、相手方を保護する必要がないため、例外として取消しが認められます。
第7問(第三者の詐欺) Aが第三者Cの詐欺によりBと売買契約を結んだ場合、Aは、相手方Bがその詐欺の事実を知っていたか、又は知ることができたときに限り、その契約を取り消すことができる。
解答
〇 第三者による詐欺の場合、契約の相手方(B)の信頼も保護する必要があります。そのため、相手方が悪意または有過失の場合に限り、表意者(A)は契約を取り消すことができます。
第8問(無効と取消しの違い) 無効な行為は、後から追認することによって初めから有効な行為となるが、取り消すことができる行為は、取り消されるまでは有効なものとして扱われる。
解答
✖ 取消しできる行為は取消しまで有効(正解)ですが、無効な行為は追認しても「初めから有効」にはなりません。追認した時から「新たな行為をした」とみなされるだけです。
第9問(意思表示の効力発生時期) 隔地者に対する意思表示は、その通知を発信した時からその効力を生ずるのが原則である。
解答
✖ 民法では、意思表示は相手方に届いた時に効力を生じる「到達主義」が原則とされています。郵便ポストに投函した時などの発信した時(発信主義)ではありません。
第10問(契約の成立時期) 売買契約は、当事者の一方が申込みの意思表示をし、相手方がこれに対して承諾の意思表示をした時に成立し、必ずしも書面を作成する必要はない。
解答
〇 売買契約は、当事者の合意のみで成立する「諾成契約」であり、書面の作成は成立要件ではありません。口約束でも契約は法的に有効に成立します。
第1問(詐術を用いた場合) 【問題】未成年者が法定代理人の同意を得ていないにもかかわらず、同意を得ていると相手方を信じさせるために詐術を用いた場合、その未成年者は当該行為を取り消すことができない。
解答
〇 【解説】制限行為能力者が自分が能力者であると信じさせるため、または同意を得たと偽るために「詐術(ウソ)」を用いた場合、相手方を保護するため、その行為を取り消すことができなくなります。
第2問(成年被後見人と日用品の購入) 【問題】成年被後見人が行った日用品の購入その他日常生活に関する行為についても、成年後見人はこれを取り消すことができる。
解答
✖ 【解説】成年被後見人の法律行為は原則として取り消せますが、自己決定権の尊重という観点から「日用品の購入その他日常生活に関する行為」については、例外として取り消すことができません。
第3問(被保佐人の不動産売却) 【問題】被保佐人が、自己所有の土地を売却する場合、保佐人の同意を得ずに行った売買契約は取り消すことができる。
解答
〇 【解説】不動産の売却や借財などの「重要な財産行為」は保佐人の同意が必要です。保佐人の同意を得ずに被保佐人が単独で行った重要な法律行為は、原則として取り消すことができます。
第4問(被補助人と同意を要する行為) 【問題】被補助人は、すべての法律行為について補助人の同意を得なければならず、同意を得ずに行った行為は取り消すことができる。
解答
✖ 【解説】被補助人は原則として単独で有効に法律行為ができます。家庭裁判所の審判により「特定の法律行為」についてのみ補助人の同意が必要とされ、その指定された行為に限り取り消し対象となります。
第5問(成年被後見人と同意権) 成年被後見人が、成年後見人の事前の同意を得て不動産を売却する契約を締結した場合、この契約は有効であり取り消すことはできない。
解答
✖ 成年被後見人は判断能力が常に欠けている状態のため、事前の「同意」を得て行動してもその行為は不確実です。そのため成年後見人には同意権がなく、同意を得て行った行為でも取り消すことができます。
第6問(未成年者が単独でできる行為) 未成年者が、法定代理人の同意を得ずに、負担のない贈与を受ける契約を締結した場合、法定代理人はその契約を取り消すことができる。
解答
✖ 単に権利を得たり義務を免れたりする行為(負担のない贈与を受けるなど)は、未成年者に不利益が生じないため、法定代理人の同意を得ずに単独で有効に行うことができ、取り消すことはできません。
第7問(能力者となった本人への催告) 制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が能力者となった後に、1ヶ月以上の期間を定めて追認するかどうか催告した場合、その期間内に確答がなければ「取消し」をしたものとみなされる。
解答
✖ 能力者となった本人に対し1ヶ月以上の期間を定めて催告し、期間内に確答がなかった場合は、「追認」したものとみなされます。取り消しとみなされるわけではないため注意が必要です。
第8問(法定代理人への催告) 相手方が、未成年者の法定代理人に対して、1ヶ月以上の期間を定めて追認するかどうかを催告し、その期間内に確答を発しなかった場合、その行為は追認したものとみなされる。
解答
〇 法定代理人など「確答できる権限を持つ者」に対して催告し、期間内に返答がなかった場合は、原則としてその行為を「追認」したものとみなされ、以降は取り消すことができなくなります。
第9問(取消しと第三者の関係) 制限行為能力を理由に売買契約を取り消した場合、その取消しは、事情を知らずに物件を買い受けた善意無過失の第三者に対しては対抗することができない。
解答
✖ 制限行為能力を理由とする取消しは、詐欺等による取消しと異なり絶対的な効力を持ちます(能力者の保護が最優先)。したがって、善意無過失の第三者に対しても取消しを主張して物件を取り戻せます。
第10問(営業を許可された未成年者) 一種または数種の営業を許された未成年者は、その営業に関する行為については成年者と同一の行為能力を有するため、単独で有効に契約を締結できる。
解答
〇 営業を許可された未成年者は、その「許可された営業の範囲内」においては成年者と同じ能力を持つとされます。そのため、法定代理人の同意を得ずに単独で有効な契約を結ぶことができます。
第1問(取得時効の要件) 【問題】AがB所有の土地を、自己の所有物と過失なく信じて占有を始めた場合、平穏かつ公然に10年間占有を継続すれば、Aはその土地の所有権を時効取得できる。
解答
〇 【解説】他人の物でも、所有の意思をもって平穏かつ公然に占有し続ければ所有権を取得できます。占有開始時に善意無過失であれば10年、悪意または有過失であれば20年の占有で時効取得が認められます。
第2問(占有の承継) 【問題】Aが悪意で15年占有した土地を相続したBが、善意無過失で5年占有した場合、Bは前主Aの占有を併せて主張することで、20年の取得時効を援用できる。
解答
【解答】〇 【解説】占有者は自己の占有のみを主張するか、前主の占有を併せて主張するかを選択できます。前主の占有を併せる場合、その瑕疵(悪意など)も引き継ぐため、本問では悪意の20年占有として時効取得が成立します。
第3問(債権の消滅時効期間) 【問題】債権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から10年間行使しないときは、時効によって消滅する。
解答
【解答】✖ 【解説】債権の消滅時効は、原則として「権利を行使できることを知った時から5年」または「権利を行使できる時から10年」のいずれか早い時期に完成します。知った時から10年ではありません。
第4問(時効の利益の放棄) 【問題】時効の利益は、あらかじめ放棄しておくことができるため、金銭消費貸借契約の締結時に「借主は消滅時効の利益を放棄する」旨の特約を定めれば有効である。
解答
【解答】✖ 【解説】時効の利益は、あらかじめ(時効完成前に)放棄することはできません。債務者が立場を利用されて無理やり放棄させられるのを防ぐためです。ただし、時効完成「後」に放棄することは自由に認められています。
第5問(承認による時効の更新) 【問題】債務者が消滅時効の完成前に債権者に対して利息の支払いや債務の一部弁済を行った場合、債務の「承認」にあたり、そこから新たに時効期間の進行が始まる。
解答
【解答】〇 【解説】利息の支払いや一部弁済、支払猶予の申入れなどは、債務の存在を認める「承認」に該当します。承認があると時効は「更新(リセット)」され、その時点から新たにゼロから時効期間が進行し始めます。
第6問(催告による時効の完成猶予) 【問題】債権者が内容証明郵便で債務の履行を求める「催告」をした場合、その時から6ヶ月間は時効の完成が猶予されるが、猶予期間中に再度催告をすれば、さらに6ヶ月間猶予される。
解答
【解答】✖ 【解説】催告(裁判外の請求)を行うと、その時から6ヶ月間時効の完成が猶予されます(完成猶予)。しかし、この猶予期間中に再度催告を繰り返しても、時効の完成をさらに延長(再度の猶予)させることはできません。
第7問(時効完成後の承認) 【問題】時効が完成していることを知らずに債務の承認(一部弁済など)をした場合、債務者はその後、時効の完成を主張して債務を免れることはできない。
解答
【解答】〇 【解説】時効完成を知らずに一部弁済などを行った場合でも、債権者は「もう時効を援用しないだろう」と期待します。これを保護するため、信義則上、債務者は後から時効の完成を主張(援用)することはできなくなります。
第8問(時効の援用権者) 【問題】借金をした主債務者の時効が完成した場合でも、連帯保証人や物上保証人は、自らその消滅時効を援用することはできない。
解答
【解答】✖ 【解説】時効の援用ができるのは「当事者」に限られますが、この当事者には主債務者だけでなく、連帯保証人、保証人、物上保証人なども含まれます。彼らも時効消滅によって直接利益を受けるため援用が可能です。
第9問(取得時効の対象) 【問題】取得時効の対象となる財産権は所有権に限られるため、地上権や地役権などの所有権以外の財産権を時効によって取得することはできない。
解答
【解答】✖ 【解説】取得時効の対象は所有権に限定されません。地上権、地役権、賃借権(不動産賃借権)などの財産権であっても、一定の要件を満たして平穏かつ公然と行使し続けることで、時効取得することが認められています。
第10問(所有権の消滅時効) 【問題】所有権は、権利者がその権利を行使しない状態が20年間継続した場合には、消滅時効にかかり消滅する。
解答
【解答】✖ 【解説】所有権は消滅時効にかかりません。どれだけ長期間放置しても、他人が時効取得しない限り、単に使わなかったという理由だけで所有権が消滅することはありません。なお、所有権以外の財産権は20年で消滅します。
第1問(取得時効の要件) 【問題】AがB所有の土地を、自己の所有物と過失なく信じて占有を始めた場合、平穏かつ公然に10年間占有を継続すれば、Aはその土地の所有権を時効取得できる。
解答
【解答】〇 【解説】他人の物でも、所有の意思をもって平穏かつ公然に占有し続ければ所有権を取得できます。占有開始時に善意無過失であれば10年、悪意または有過失であれば20年の占有で時効取得が認められます。
第2問(占有の承継) 【問題】Aが悪意で15年占有した土地を相続したBが、善意無過失で5年占有した場合、Bは前主Aの占有を併せて主張することで、20年の取得時効を援用できる。
解答
【解答】〇 【解説】占有者は自己の占有のみを主張するか、前主の占有を併せて主張するかを選択できます。前主の占有を併せる場合、その瑕疵(悪意など)も引き継ぐため、本問では悪意の20年占有として時効取得が成立します。
第3問(債権の消滅時効期間) 【問題】債権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から10年間行使しないときは、時効によって消滅する。
解答
【解答】✖ 【解説】債権の消滅時効は、原則として「権利を行使できることを知った時から5年」または「権利を行使できる時から10年」のいずれか早い時期に完成します。知った時から10年ではありません。
第4問(時効の利益の放棄) 【問題】時効の利益は、あらかじめ放棄しておくことができるため、金銭消費貸借契約の締結時に「借主は消滅時効の利益を放棄する」旨の特約を定めれば有効である。
解答
【解答】✖ 【解説】時効の利益は、あらかじめ(時効完成前に)放棄することはできません。債務者が立場を利用されて無理やり放棄させられるのを防ぐためです。ただし、時効完成「後」に放棄することは自由に認められています。
第5問(承認による時効の更新) 【問題】債務者が消滅時効の完成前に債権者に対して利息の支払いや債務の一部弁済を行った場合、債務の「承認」にあたり、そこから新たに時効期間の進行が始まる。
解答
【解答】〇 【解説】利息の支払いや一部弁済、支払猶予の申入れなどは、債務の存在を認める「承認」に該当します。承認があると時効は「更新(リセット)」され、その時点から新たにゼロから時効期間が進行し始めます。
第6問(催告による時効の完成猶予) 【問題】債権者が内容証明郵便で債務の履行を求める「催告」をした場合、その時から6ヶ月間は時効の完成が猶予されるが、猶予期間中に再度催告をすれば、さらに6ヶ月間猶予される。
解答
【解答】✖ 【解説】催告(裁判外の請求)を行うと、その時から6ヶ月間時効の完成が猶予されます(完成猶予)。しかし、この猶予期間中に再度催告を繰り返しても、時効の完成をさらに延長(再度の猶予)させることはできません。
第7問(時効完成後の承認) 【問題】時効が完成していることを知らずに債務の承認(一部弁済など)をした場合、債務者はその後、時効の完成を主張して債務を免れることはできない。
解答
【解答】〇 【解説】時効完成を知らずに一部弁済などを行った場合でも、債権者は「もう時効を援用しないだろう」と期待します。これを保護するため、信義則上、債務者は後から時効の完成を主張(援用)することはできなくなります。
第8問(時効の援用権者) 【問題】借金をした主債務者の時効が完成した場合でも、連帯保証人や物上保証人は、自らその消滅時効を援用することはできない。
解答
【解答】✖ 【解説】時効の援用ができるのは「当事者」に限られますが、この当事者には主債務者だけでなく、連帯保証人、保証人、物上保証人なども含まれます。彼らも時効消滅によって直接利益を受けるため援用が可能です。
第9問(取得時効の対象) 【問題】取得時効の対象となる財産権は所有権に限られるため、地上権や地役権などの所有権以外の財産権を時効によって取得することはできない。
解答
【解答】✖ 【解説】取得時効の対象は所有権に限定されません。地上権、地役権、賃借権(不動産賃借権)などの財産権であっても、一定の要件を満たして平穏かつ公然と行使し続けることで、時効取得することが認められています。
第10問(所有権の消滅時効) 【問題】所有権は、権利者がその権利を行使しない状態が20年間継続した場合には、消滅時効にかかり消滅する。
解答
【解答】✖ 【解説】所有権は消滅時効にかかりません。どれだけ長期間放置しても、他人が時効取得しない限り、単に使わなかったという理由だけで所有権が消滅することはありません。なお、所有権以外の財産権は20年で消滅します。
弁済・債務不履行・解除・危険負担
本来の債務を履行することを弁済といいます。
債務不履行とは「約束の期日までに物件を引き渡さなかった」「引き渡し前に、落雷で建物が燃えてしまった」など、契約が思い通りに進まなかった場合ルールです。
▼ポイント: 損害賠償請求や契約解除ができるための条件(相手の過失の有無など)を正確に押さえることが重要です。
第1問(正当な利益を有する者の第三者弁済) 【問題】借金をしているAの保証人Bは、Aが「代わりに返済しないでくれ」と反対していても、Aの借金を代わりに弁済することができる。
解答
【解答】〇 【解説】保証人や連帯債務者、物上保証人など「弁済をするについて正当な利益を有する者」は、債務者の意思に反していても、第三者として有効に弁済をすることができます。
第2問(正当な利益を有しない者の第三者弁済) 【問題】債務者の友人が債務者の代わりに借金を弁済する場合、債権者がその事実を知っていれば、債務者の意思に反していても有効な弁済となる。
解答
【解答】✖ 【解説】正当な利益を有しない第三者(単なる友人など)は、原則として債務者の意思に反して弁済できません。債務者の意思に反することを債権者が知っていた場合、その弁済は無効となります。
第3問(受領権者としての外観を有する者への弁済) 【問題】債権者の代理人と称して偽造の委任状と印鑑を持参した者に対し、債務者が善意無過失で借金の返済をした場合、その弁済は無効となる。
解答
【解答】✖ 【解説】受領権限がなくても、取引上の外観(偽造書類の持参等)から受領権者に見える者に対して「善意無過失」で行った弁済は、債務者を保護するため例外的に有効な弁済となります。
第4問(代物弁済) 【問題】債務者が本来の借金100万円を返済する代わりに、債権者の承諾を得て時価80万円の車を引き渡した場合、借金全額が消滅したことにはならない。
解答
【解答】✖ 【解説】債権者の承諾を得て本来の債務に代えて他の給付(車の引渡し等)をした場合、代物弁済として借金全額が消滅します。物の時価が本来の債務額を下回っていても有効です。
第5問(弁済の提供) 【問題】債権者が予め受領を拒絶している場合であっても、債務者は現実に金銭を持参して弁済の提供をしなければ、債務不履行責任を免れることはできない。
解答
【解答】✖ 【解説】債権者が予め受領を拒む場合などは、現実に持参しなくても、弁済の準備をして「いつでも受領してほしい」と通知する「口頭の提供」を行えば、遅滞などの責任を免れることができます。
第6問(受取証書の交付請求) 【問題】債務者は、弁済をするのと引き換えに債権者に対して受取証書(領収書)の交付を請求できるが、債権者がこれを拒んだ場合でも弁済を拒むことはできない。
解答
【解答】✖ 【解説】弁済と受取証書(領収書)の交付は同時履行の関係にあります。したがって、債権者が領収書の発行を拒む場合、債務者は同時履行の抗弁権を行使して弁済(支払い)を拒絶できます。
第7問(債権証書の返還請求) 【問題】借金の全額を返済する債務者は、受取証書の交付だけでなく、借用書などの債権証書の返還についても弁済と同時履行を主張して返済を拒むことができる。
解答
【解答】✖ 【解説】弁済と債権証書(借用書など)の返還は同時履行の関係にはありません。まず債務者が全額の弁済(と領収書の受領)を行い、その後で初めて債権証書の返還を請求することができます。
第8問(弁済の指定充当) 【問題】債務者が同じ債権者に対して複数の借金を負っている場合において、返済額がすべての借金を消滅させるのに足りないときは、まず債権者がどの借金に充当するかを指定できる。
解答
【解答】✖ 【解説】弁済額が債務全額を消滅させるのに足りない場合、弁済をどの債務に充てるか(充当)は、まず「弁済をする者(債務者)」が指定することができます。債権者が優先して指定するわけではありません。
第9問(元本・利息・費用の充当順序) 【問題】元本のほかに利息及び費用を支払うべき場合において、返済額がその全部を消滅させるのに足りないときは、元本、利息、費用の順に充当しなければならない。
解答
【解答】✖ 【解説】元本、利息、費用を支払う必要がある場合において、返済額が足りないときは、法により「費用 ⇒ 利息 ⇒ 元本」の順序で充当されます。元本から先に減るわけではない点に注意が必要です。
第10問(弁済の場所) 【問題】特定物の引渡し以外の債務(金銭債務など)について、契約で弁済の場所を定めていない場合、債務者は債権者の現在の住所において弁済をしなければならない。
解答
【解答】〇 【解説】弁済の場所について特約がない場合、金銭債務などについては債権者の現在の住所に持参して支払う「持参債務の原則」が適用されます(特定物の引渡しは契約成立時の場所です)。
第1問(履行遅滞の時期) 【問題】確定期限のある債務については、債務者は、その期限が到来した時から遅滞の責任を負う。
解答
〇 【解説】確定期限のある債務は、期限到来時から履行遅滞となります。なお、不確定期限の場合は「期限の到来を知った時」または「到来後に履行の請求を受けた時」のいずれか早い時から遅滞となります。
第2問(損害賠償と帰責事由) 【問題】債務不履行に基づく損害賠償請求をする場合、債務者に帰責事由(故意・過失)がない場合でも、債権者は損害賠償を請求することができる。
解答
✖ 【解説】債務不履行による損害賠償は、その不履行が「債務者の責めに帰することができない事由(不可抗力など)」によるものであるときは、請求することができません(金銭債務の例外を除く)。
第3問(原始的不能と損害賠償) 【問題】契約締結の時点で既に建物が焼失して引き渡しが不可能(原始的不能)であった場合、その契約は無効となるため、買主は損害賠償を請求できない。
解答
✖ 【解説】民法改正により、契約時に既に履行不能であっても契約自体は有効とされました。したがって、引渡し不能について売主に帰責事由があれば、買主は債務不履行に基づく損害賠償請求が可能です。
第4問(金銭債務の特則) 【問題】金銭の支払いを目的とする債務の不履行については、債務者は不可抗力をもって抗弁とすることができず、損害賠償責任を免れない。
解答
〇 金銭債務には履行不能が存在しないため、天災などで送金できなかった等の不可抗力を理由に免責されることはありません。また、債権者は損害の証明をする必要もなく損害賠償を請求できます。
第5問(特別損害の賠償) 【問題】債務不履行による損害賠償の範囲は通常生ずべき損害に限られ、特別の事情によって生じた損害については、当事者がその事情を予見すべきであったとしても請求できない。
解答
✖ 損害賠償の範囲は原則として「通常生ずべき損害」ですが、特別の事情によって生じた損害(特別損害)であっても、当事者がその事情を「予見すべきであった時」には賠償請求の対象となります。
第6問(危険負担の原則) 【問題】建物の売買契約締結後、引渡し前に落雷によって建物が全焼した場合、買主は建物の代金の支払いを拒絶することができる。
解答
〇 当事者双方の責めに帰することができない事由(落雷など)で目的物が滅失し履行不能となった場合、買主(債権者)は反対給付である代金の支払いを拒絶することができます(危険負担のルール)。
第7問(引渡しによる危険の移転) 【問題】売買契約の目的物である建物が買主に引き渡された後に、台風によって全壊した場合、買主は代金の支払いを拒絶することができる。
解答
✖ 危険負担のルールにおいて、目的物が引き渡された後は、滅失等のリスク(危険)は売主から買主に移転します。したがって、引渡し後の不可抗力による滅失であれば買主は代金の支払いを拒絶できません。
第8問(債権者の帰責事由と危険負担) 【問題】建物の売買契約締結後、買主の過失による火災で建物が焼失した場合であっても、買主は代金の支払いを拒絶することができる。
解答
✖ 目的物の滅失が債権者(買主)の責めに帰すべき事由によるものである場合、買主は代金の支払いを拒絶することができません。自己の過失で建物を燃やしたのに支払いを免れることは当然できません。
第9問(危険負担と契約解除) 【問題】引渡し前に売主・買主双方の責めに帰すことができない事由により目的物が滅失した場合、買主は代金の支払いを拒絶できるだけであり、契約の解除はできない。
解答
✖ 双方に帰責事由なく履行不能となった場合、買主は代金の支払いを拒絶できる(危険負担)だけでなく、債務不履行(履行不能)を理由として、催告なしに契約を解除することも認められています。
第10問(代償請求権) 【問題】売主が建物を第三者に二重譲渡して引渡しを完了し、買主に対する債務が履行不能となった場合、買主は売主が第三者から得た売却代金の引渡しを請求することができる。
解答
〇 債務の履行不能により債務者が代わりの財産(転売代金など)を得た場合、債権者は、自分の本来の債務の範囲内でその代償財産の引渡しを求めることができます(代償請求権といいます)。
第1問(買主の追完請求権) 引き渡された目的物が種類や品質に関して契約の内容に適合しない場合、買主は売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し、又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。
解答
〇 目的物に不適合がある場合、買主は契約通りの状態にするよう求める「追完請求権」を有します。具体的には、壊れた部分の修補、新しい代替物との交換、不足分の追加引渡しを請求できます。
第2問(売主による追完方法の変更) 買主が履行の追完を請求した場合、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときに限り、買主が請求した方法とは異なる方法による履行の追完をすることができる。
解答
〇 追完の方法は原則として買主が指定しますが、売主にとっても負担の少ない方法があるかもしれません。買主に不相当な負担をかけない範囲であれば、売主は異なる方法で追完を行うことが可能です。
第3問(代金減額請求の要件) 引き渡された目的物が契約の内容に適合しない場合、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に追完がないときでも、買主は代金の減額を請求することはできない。
解答
✖ 買主が相当の期間を定めて追完の催告をしたにもかかわらず、売主が期間内に追完しない場合、買主はその不適合の程度に応じて「代金減額請求」が可能です。支払う代金を妥当な額に調整する権利です。
第4問(買主の帰責事由と権利行使) 目的物の不適合が、買主の責めに帰すべき事由によって生じたものである場合であっても、買主は売主に対して履行の追完の請求や代金の減額の請求をすることができる。
解答
✖ 契約不適合の原因が買主自身の責任(不注意な取り扱いによる破損など)によって生じたものである場合は、売主に責任を問うことはできず、買主からの追完請求や代金減額請求は認められません。
第5問(種類・品質の不適合の通知期間) 買主が目的物の種類又は品質に関する不適合を理由に売主の責任を追及する場合、買主は、その不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければならない。
解答
〇 種類や品質の不適合については、長期間放置すると売主の負担が大きくなるため、買主は不適合を「知った時から1年以内」に通知しなければ、追完請求や代金減額請求等の権利を失います。
第6問(売主が悪意等の場合の期間制限) 売主が引渡しの時に、目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないことを知っていた場合であっても、買主は不適合を知った時から1年以内に通知をしなければ権利を失う。
解答
✖ 売主が引渡し時に不適合の事実を知っていた(悪意)か重大な過失があった場合、そのような売主を保護する必要はありません。そのため、買主に対する「知った時から1年以内」の通知期間の制限は適用されません。
第7問(数量・権利の不適合の期間制限) 目的物の数量が不足していたことによる不適合について売主の責任を追及する場合、買主は、種類や品質の不適合と同様に、その不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければならない。
解答
✖ 数量不足や権利に関する不適合については、種類や品質と異なり「知った時から1年以内の通知」という厳しい制限はありません。原則として、知った時から5年などの通常の消滅時効にかかるまで権利を行使できます。
第8問(損害賠償請求との併用) 買主は、契約不適合を理由とする代金減額請求を行った場合、それと併せて債務不履行を理由とする損害賠償の請求をすることは一切できない。
解答
✖ 代金減額請求は、不適合による価値低下分を代金から差し引いて調整する権利です。これによっても補いきれない損害が別に生じている場合は、要件を満たせば併せて損害賠償請求を行うことも可能です。
第9問(軽微な不適合と契約解除) 目的物の不適合を理由に契約の解除をするためには、その不適合が、契約及び取引上の社会通念に照らして軽微なものであってはならない。
解答
〇 債務不履行による解除の一般原則と同様に、契約不適合による契約解除も可能です。ただし、その不適合がごくわずかな傷など「軽微」なものである場合は、契約全体をなしにする解除は認められません。
第10問(無催告での代金減額請求) 買主が売主に対して追完の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求できるケースとして、履行の追完が不能である場合や、売主が明確に追完を拒絶した場合がある。
解答
〇 原則として代金減額請求の前には追完の催告が必要ですが、物理的に追完が不可能な場合や、売主が明確に拒否している場合などは、催告をしても無意味です。このようなケースでは直ちに減額請求が認められます。
物権変動・不動産登記
「1つの土地を、2人の人に売ってしまった(二重譲渡)」というトラブルで、どちらが真の所有者になるのかを決めるルールです。
▼ポイント: キーワードは「対抗要件(=第三者に自分の権利を主張するための条件)」です。不動産の場合は原則として「先に登記を備えた方」が勝ちます。
第1問(対抗要件の原則と二重譲渡) AがBに土地を売却し、その後Cにも同じ土地を売却した。CがAから所有権移転登記を備えた場合、Bは登記がなければCに対して所有権を主張できない。
解答
〇 不動産の二重譲渡の場合、先に登記を備えた者が所有権を主張できます。BはCよりも先に契約を結んでいますが、登記をしていないため、登記を備えたCに対して所有権を対抗することができません。
第2問(無権利者に対する対抗) A所有の土地について、Bが勝手に自己名義に登記を移した。Aは、自己名義の登記がなくても、Bに対して土地の所有権を主張することができる。
解答
〇 登記なくして対抗できない「第三者」とは、正当な利益を有する者のことです。不法占拠者や勝手に登記を移した無権利者に対しては、真の所有者は登記がなくても所有権を主張(対抗)することができます。
第3問(背信的悪意者に対する対抗) AがBに土地を売却したが未登記であることに乗じ、CがBに高値で売りつける目的でAからその土地を買い受けて登記を備えた。Bは登記がなくてもCに所有権を主張できる。
解答
〇 単に事情を知っているだけの悪意者は「第三者」に含まれますが、信義に反する目的を持つ「背信的悪意者」は保護される第三者に該当しません。したがって、Bは登記がなくてもCに対して所有権を主張できます。
第4問(詐欺による取消しと登記) AがBの詐欺により土地を売却し登記も移転したが、後日Aが契約を取り消した。その後、Bが事情を知らないCに土地を転売して登記を移した場合、Aは登記なくしてCに所有権を主張できる。
解答
✖ 詐欺による取消し「後」に登場した第三者(C)と本来の所有者(A)は、二重譲渡と同じ関係に立つとみなされます。したがって、優劣は善意・悪意に関わらず「登記の先後」で決まるため、Aは登記がなければ対抗できません。
第5問(契約解除と登記) AがBに土地を売却し引き渡したが、Bが代金を払わないためAは契約を解除した。解除「前」にBから土地を買い受けて登記を備えていたCに対し、Aは所有権を主張できる。
解答
✖ 契約解除「前」に登場した第三者(C)に対しては、その者が善意・悪意に関わらず、登記を備えている場合には解除の効果を対抗できません。Cは既に登記を備えているため、AはCに対して所有権を主張できません。
第6問(時効完成前の第三者) AがBの土地を占有し、取得時効が完成する「前」に、BがCへ土地を売却してCが登記を備えた。その後時効が完成した場合、Aは登記がなくてもCに時効取得を主張できる。
解答
〇 時効完成「前」に登場した第三者(C)は時効完成時の当事者にあたるため、Aは登記なくしてCに対して時効取得を対抗できます。Cが先に登記を備えていても、Aの時効完成により権利を奪われることになります。
第7問(時効完成後の第三者) AがBの土地を占有し取得時効が完成した「後」に、BがCへ土地を売却しCが登記を備えた。Aは、登記がなくてもCに対して時効取得を主張することができる。
解答
✖ 時効完成「後」に登場した第三者(C)と時効取得者(A)は、二重譲渡と同じ対抗関係に立ちます。したがって、優劣は「登記の先後」によって決まるため、先に登記を備えたCに対してAは対抗できません。
第8問(遺産分割と登記) Aの死亡によりBとCが土地を共同相続した後、遺産分割でBが単独で取得することになった。しかし登記前に、Cが自己の持分をDに売却してDが登記を備えた場合、BはDに自己の単独所有を主張できない。
解答
〇 遺産分割によって法定相続分を超える持分を取得した部分については、登記を備えなければ第三者に対抗できません。Bは遺産分割による取得を登記していないため、先に登記を備えたDに対して対抗できません。
第9問(相続放棄と登記) Aの死亡によりBとCが共同相続したが、Bは相続放棄をした。しかしBの債権者DがBの持分を差し押さえて登記を備えた場合、Cは登記がなくてもDに対して自己の単独所有を主張できる。
解答
〇 相続放棄は初めから相続人とならなかったものとみなされ、絶対的な効力を持ちます。したがって、相続放棄による権利変動は登記がなくても第三者に対抗でき、Cは登記なくしてDに単独所有を主張できます。
第10問(虚偽表示の無効と第三者) AがBと通謀して土地の仮装売買を行いB名義に登記した。その後Bが善意のCに土地を売却し登記を移した場合、Aは契約の無効を理由にCに対して土地の返還を請求できる。
解答
✖ 通謀虚偽表示による無効は、善意の第三者に対抗できません。この場合、第三者Cが善意であれば、登記の有無にかかわらずCが保護されるため、AはCに対して土地の返還を請求することはできません。
第1問(表示に関する登記の申請義務) 新築した建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1ヶ月以内に、建物の表題登記を申請しなければならない。
解答
〇 表題登記(表示に関する登記)は、不動産の物理的現況を正確に把握するため、所有権取得の日から1ヶ月以内に申請する義務があります。違反すると10万円以下の過料に処される可能性があります。
第2問(権利に関する登記の申請義務) 売買により土地の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1ヶ月以内に、所有権移転の登記を申請しなければならない。
解答
✖ 売買による所有権移転登記など「権利に関する登記」には、原則として申請義務や期間の制限はありません。※令和6年4月施行の相続登記義務化を除き、自分の権利を守るために任意で行うものです。
第3問(共同申請の原則と例外) 権利に関する登記は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同して申請しなければならない。
解答
〇 権利に関する登記は、虚偽の登記を防ぐため、登記によって有利になる者(登記権利者)と不利になる者(登記義務者)が共同で申請するのが大原則です。
第4問(相続による所有権移転登記の申請) 相続による土地の所有権移転登記は、共同申請の原則に従い、相続人と被相続人(又はその遺言執行者)が共同して申請しなければならない。
解答
✖ 相続や法人の合併による権利の移転の登記は、登記義務者(被相続人など)が既に存在しないため、例外として登記権利者(相続人など)が単独で申請することができます。
第5問(判決による登記の申請) 登記義務者が登記の申請に協力しない場合であっても、登記を命ずる確定判決を得たときは、登記権利者は単独で当該登記を申請することができる。
解答
〇 相手方が登記に協力しない場合、訴訟を起こして「登記手続をせよ」という確定判決を得れば、判決書を添付して登記権利者が単独で申請することが認められています。
第6問(仮登記の単独申請) 仮登記は、仮登記の登記義務者の承諾がある場合であっても、仮登記権利者が単独で申請することはできず、常に共同申請によらなければならない。
解答
✖ 仮登記は共同申請が原則ですが、例外として「仮登記義務者の承諾がある場合」または「仮登記を命ずる処分の決定書正本がある場合」には、仮登記権利者が単独で申請することができます。
第7問(所有権保存登記の申請人) 表題部所有者から建物を買い受けた者は、自己を申請人として直接当該建物の所有権保存登記を申請することができる。
解答
✖ 所有権保存登記は、原則として表題部所有者しか申請できません。表題部所有者から買い受けた者は、まず表題部所有者名義で保存登記をした後、自分への所有権移転登記を行う必要があります。
第8問(登記名義人の氏名等の変更登記) 所有権の登記名義人が住所を移転した場合、その住所の変更の登記は、登記名義人が単独で申請することができる。
解答
〇 引っ越しによる住所変更や、結婚等による氏名変更など、登記名義人の氏名・名称・住所の変更(更正)の登記は、登記義務者が存在しないため、登記名義人が単独で申請できます。
第9問(建物の滅失登記) 建物が火災により全部焼失した場合、建物の所有権の登記名義人は、その滅失の日から1ヶ月以内に、建物の滅失の登記を申請しなければならない。
解答
〇 建物が滅失(全部焼失や取り壊しなど)した場合、表題部所有者または所有権の登記名義人は、その滅失の日から1ヶ月以内に「建物の滅失登記」を申請する義務があります。
第10問(登記識別情報の事前通知) 登記義務者が登記識別情報を提供することができない場合、登記官が事前通知を行い、申請内容が真実であることの申出があれば登記手続きを行うことができる。
解答
〇 登記識別情報を紛失等して提供できない場合、原則として事前通知制度が利用されます。登記官が登記義務者に通知を行い、一定期間内に「間違いない」旨の申出があれば登記が実行されます。
抵当権・保証
住宅ローンを組む際に金融機関が設定する「抵当権」や、連帯保証人のルールです。
▼ポイント: 「法定地上権(土地と建物の所有者が変わってしまった場合に、建物を保護する仕組み)」は受験生が苦手とする分野ですが、要件を暗記すれば確実に得点源になります。
第1問(抵当権の目的物) 抵当権は、不動産のほか、地上権や永小作権を目的として設定することができるが、賃借権を目的として設定することはできない。
解答
〇 抵当権の目的とすることができるのは、不動産(土地・建物)のほか、地上権と永小作権に限られます。不動産の賃借権を抵当権の目的とすることはできません。
第2問(付加一体物への効力) 建物の抵当権の効力は、原則として、抵当権設定後にその建物に付加された増築部分や、建物に附属する従物には及ばない。
解答
✖ 抵当権の効力は、抵当権設定の前後を問わず、抵当不動産の付加一体物(増築部分や従物など)に及びます。建物の抵当権を実行すれば、原則として増築部分も競落人に移転します。
第3問(果実への効力と物上代位) 抵当権者は、抵当不動産の賃料に対して常に物上代位権を行使することができるため、債務不履行の前後を問わず賃料を差し押さえることができる。
解答
✖ 抵当権の効力は、原則として賃料(法定果実)には及びません。ただし、債務不履行(契約違反)があった「後」に生じる賃料については、抵当権の効力が及び、物上代位による差押えが可能です。
第4問(法定地上権の成立要件) 土地と建物が同一の所有者に属している状態で、土地のみに抵当権が設定され、実行により土地と建物の所有者が異なるに至った場合、法定地上権が成立する。
解答
〇 ①抵当権設定時に土地の上に建物が存在し、②その土地と建物が同一所有者であり、③競売によって所有者が別々になった場合、建物を存続させるために自動的に法定地上権が成立します。
第5問(更地への抵当権設定と法定地上権) 更地に抵当権を設定した後、抵当権設定者がその土地の上に建物を建築した場合、抵当権が実行されると建物のために法定地上権が成立する。
解答
✖ 抵当権設定時に建物が存在しない「更地」の場合、後から建物を建てたとしても法定地上権は成立しません。土地の担保価値を保護するため、建物は法定地上権で保護されず取り壊しの対象となります。
第6問(一括競売) 更地に抵当権を設定した後に、設定者がその土地に建物を築造した場合、抵当権者は土地とともにその建物も一括して競売することができる。
解答
〇 更地への抵当権設定後に建物が建てられた場合、抵当権者は土地と建物を「一括競売」できます。ただし、抵当権の効力は建物には及ばないため、優先弁済を受けられるのは土地の売却代金のみです。
第7問(抵当権消滅請求) 抵当権が設定されている不動産を買い受けた第三者は、抵当権者の請求を待つことなく、自ら相当と認める金額を提示して抵当権消滅請求をすることができる。
解答
〇 抵当不動産の所有権を取得した第三取得者は、自ら評価した金額を提供し、抵当権の消滅を請求できます。抵当権者が2ヶ月以内に競売を申し立てなければ、承諾したものとみなされます。
第8問(抵当権の順位変更) 同一の不動産について複数の抵当権が設定されている場合、各抵当権者は、他のすべての抵当権者の合意があれば、登記をしなくても順位を変更することができる。
解答
✖ 抵当権の順位変更には、各抵当権者の合意(利害関係人がいる場合はその承諾)に加えて、その順位変更の「登記」をすることが効力発生要件となります。登記をしなければ効力は生じません。
第9問(抵当権に基づく妨害排除請求) 抵当不動産が不法占拠者により占有され、その不動産の交換価値が実現されないおそれがある場合、抵当権者は抵当権に基づいて妨害排除請求をすることができる。
解答
〇 抵当権は不動産を直接占有する権利ではありませんが、不法占拠によって不動産の担保価値(交換価値)が下落し、優先弁済が受けられなくなるおそれがある場合には、例外的に妨害排除請求が認められます。
第10問(根抵当権の極度額と優先弁済) 根抵当権者は、元本確定後において、極度額を限度として、元本だけでなく、それに対する利息や遅延損害金の全額について優先弁済を受けることができる。
解答
〇 普通抵当権では遅延損害金は「最後の2年分」に限られますが、根抵当権ではその制限がありません。あらかじめ定めた「極度額(枠)」の範囲内であれば、利息や遅延損害金も全額優先弁済を受けられます。
第1問(保証契約の方式) 保証契約は、当事者の合意のみで成立する諾成契約であるため、口頭による合意であっても有効に成立する。
解答
✖ 保証契約は、保証人を安易に引き受けて不測の損害を被ることを防ぐため、必ず「書面」又は「電磁的記録」でしなければ効力を生じません。口頭での合意は無効です。
第2問(連帯保証人の抗弁権) 連帯保証人は、債権者から債務の履行を請求された場合、まずは主たる債務者に催告するよう求めることができる。
解答
✖ 連帯保証人には、まず主債務者に請求しろと主張する「催告の抗弁権」や、主債務者の財産を先に差し押さえろと主張する「検索の抗弁権」がありません。請求されれば直ちに支払う義務があります。
第3問(連帯保証人の分別の利益) 同一の主たる債務について、数人の連帯保証人がいる場合、各連帯保証人は頭数で平等の割合に分割された額についてのみ保証責任を負う。
解答
✖ 普通の保証人と異なり、連帯保証人には頭数で借金を割る「分別の利益」がありません。連帯保証人が何人いても、各連帯保証人は債権者に対して全額を支払う責任を負います。
第4問(保証債務の附従性) 主たる債務が消滅時効により消滅した場合、保証債務もこれに付従して消滅するため、保証人は債務を免れる。
解答
〇 保証債務には「附従性」があり、主債務が成立しなければ保証債務も成立せず、主債務が時効等で消滅すれば保証債務も一緒に消滅します。保証人自ら主債務の消滅時効を援用することも可能です。
第5問(連帯債務における相殺) 連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有している場合において、その者が相殺を援用したときは、債権は全ての連帯債務者の利益のために消滅する。
解答
〇 連帯債務者の一人が自分の持つ債権で相殺(借金と帳消し)をした場合、その効果は他の連帯債務者にも及ぶ「絶対効」となります。相殺された分だけ、全員の借金が減ることになります。
第6問(連帯債務における免除) 債権者が連帯債務者の一人に対して債務の全額を免除した場合、他の連帯債務者の債務も全額消滅する。
解答
✖ 民法改正により、連帯債務者の一人に対する「免除」は、他の債務者に影響を与えない「相対効」となりました。したがって、免除された一人を除く他の連帯債務者は、引き続き全額の返済義務を負います。
第7問(連帯債務における時効の完成) 連帯債務者の一人について消滅時効が完成した場合、他の連帯債務者はその時効が完成した者の負担部分について債務を免れる。
解答
第8問(連帯債務者の求償権) 連帯債務者の一人が自己の財産をもって債務の全額を弁済した場合、その者は、他の連帯債務者に対し、各自の負担部分について求償することができる。
解答
〇 連帯債務者の一人が借金を全額返済した場合、自分の負担部分を超える額について、他の債務者に対してそれぞれの負担割合に応じた返還を請求(求償)することができます。
第9問(個人根保証契約の極度額) 個人が保証人となる根保証契約(個人根保証契約)は、書面により極度額(上限額)を定めなければ、その効力を生じない。
解答
〇 個人の根保証(将来発生する不特定の借金の保証)では、保証人が予想外の多額の負債を背負うのを防ぐため、必ず書面等で「極度額(責任の限度額)」を定める必要があり、定めのない契約は無効となります。
第10問(主債務者の情報提供義務) 事業のために負担する債務を主たる債務とする保証契約を締結する場合、主債務者は、個人である保証人に対し、自己の財産や収支の状況等について情報を提供しなければならない。
解答
〇 事業用融資の保証はリスクが非常に高いため、主債務者は個人の保証人になろうとする者に対し、自身の財産状況や他の借金の有無などの情報を契約前に提供する義務が法律で定められています。
相続
人が亡くなったときに、誰が、どれくらいの割合で財産を受け継ぐのか(法定相続人と法定相続分)、遺言にはどんな効力があるのかを学びます。
▼ポイント: 不動産取引において、売主が亡くなり相続が発生しているケースは日常茶飯事です。実務に直結する超重要知識として学びましょう。
第1問(配偶者と兄弟姉妹の法定相続分) Aが死亡し、Aの妻BとAの兄Cが相続人となる場合、Bの法定相続分は4分の3、Cの法定相続分は4分の1である。
解答
〇 被相続人の配偶者と兄弟姉妹が相続人となる場合、法定相続分は配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1となります。配偶者と子の場合は各2分の1、配偶者と直系尊属の場合は配偶者3分の2、直系尊属3分の1です。
第2問(相続放棄と代襲相続) Aが死亡し、Aの子BがAの死亡より前に死亡していた場合、Bの子CがBを代襲してAの相続人となるが、Bが相続放棄をしていた場合、Cは代襲相続することができない。
解答
〇 相続放棄をした者は「初めから相続人とならなかったもの」とみなされるため、その子への代襲相続は発生しません。死亡、欠格、廃除によって相続権を失った場合には代襲相続が発生します。
第3問(遺産分割の遡及効) 共同相続人間で遺産分割協議が成立した場合、その効力は相続開始の時にさかのぼって生じるため、分割により取得した財産は相続開始時から単独で所有していたものとみなされる。
解答
〇 遺産分割の効力は相続開始の時(被相続人の死亡時)にさかのぼって生じます(遡及効)。ただし、遺産分割前に第三者が権利を取得していた場合、その第三者の権利を害することはできません。
第4問(単純承認とみなされる行為) 相続人が、相続開始の事実を知りながら、相続財産の一部を売却して自己の借金の返済に充てた場合、その相続人は単純承認をしたものとみなされる。
解答
〇 相続人が相続財産の全部または一部を「処分」したときは、単純承認(無限に権利義務を承継すること)をしたものとみなされます。自分の借金返済のために財産を売却する行為は処分に該当します。
第5問(限定承認の要件) 共同相続の場合において限定承認をするには、相続人全員が共同して家庭裁判所に申述しなければならず、一人でも単純承認をした者がいるときは限定承認をすることができない。
解答
〇 限定承認(相続した財産の限度で借金を返す制度)は、手続が複雑になるため、共同相続人全員が共同して行う必要があります。一人でも単純承認をすると、全員が限定承認できなくなります。
第6問(自筆証書遺言の財産目録) 自筆証書によって遺言をするには、遺言者がその全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならないが、財産目録については自書でなくパソコン等で作成してもよい。
解答
〇 法改正により、自筆証書遺言に添付する「財産目録」については、パソコン等での作成や登記事項証明書、通帳の写しの添付でも認められるようになりました。ただし、目録の各頁に署名押印が必要です。
第7問(遺言の撤回とみなされる行為) Aが「甲土地をBに相続させる」旨の遺言をした後、生前に甲土地をCに売却して引き渡した場合、当該遺言は抵触する部分について撤回したものとみなされる。
解答
〇 遺言者が遺言の内容と抵触する(矛盾する)生前処分をした場合、その抵触する部分については「遺言を撤回したもの」とみなされます。既に売却された甲土地についての遺言は無効となります。
第8問(遺留分侵害額の請求権の時効) 遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する。
解答
〇 遺留分侵害額の請求権は、相続開始と遺留分侵害の事実を知った時から1年間、または相続開始の時から10年間行使しないと時効により消滅します。なお、権利行使により「金銭債権」が発生します。
第9問(配偶者居住権の成立要件) 被相続人の配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合、遺産分割協議等により配偶者居住権を取得することができる。
解答
〇 配偶者居住権は、残された配偶者が住み慣れた家に無償で住み続けられる権利です。被相続人の所有建物に相続開始時に居住していた場合に、遺産分割協議や遺言等によって成立させることができます。
第10問(相続の放棄の撤回) 相続の放棄は、熟慮期間(自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月)内であれば、家庭裁判所に申述することによっていつでも撤回することができる。
解答
✖ 相続の承認や放棄は、熟慮期間内であっても、一度してしまうと撤回(取り消し)することはできません。頻繁に撤回されると法律関係が不安定になり、他の利害関係者に迷惑がかかるためです。
借地借家法(特別法)
土地や建物を「借りる人」を強く保護するための法律で、民法よりも優先して適用されます。毎年必ず2問出題される最重要テーマです。
▼ポイント: 「普通」と「定期(更新がない)」の違い、存続期間などを比較表にして丸暗記してしまうのが最も効率的です。
第1問(借地権の存続期間) 借地権の存続期間を契約で20年と定めた場合、その定めは無効となり、借地権の存続期間は30年となる。
解答
〇 借地権の存続期間は原則30年です。契約で30年より長い期間を定めることは有効ですが、30年より短い期間を定めた場合は無効となり、自動的に法律の原則である「30年」となります。
第2問(借地契約の更新期間) 借地権の最初の更新における存続期間は、当事者がこれより長い期間を定めた場合を除き、更新の日から10年となる。
解答
✖ 借地権の更新後の存続期間は、最初の更新では「20年」、2回目以降の更新では「10年」となります(当事者がより長い期間を定めた場合はその期間)。最初が10年ではありません。
第3問(更新拒絶の正当事由) 借地権設定者(地主)が借地契約の更新を拒絶するためには、遅滞なく異議を述べることに加えて、正当事由が必要である。
解答
〇 借地人が更新を請求した場合や、期間満了後も土地の使用を継続している場合、地主が更新を拒絶するには「遅滞ない異議」と、地主側にも土地を必要とする事情などの「正当事由」が厳格に要求されます。
第4問(建物買取請求権の効力) 借地権の存続期間が満了し借地契約の更新がない場合、借地権者は地主に対し建物を時価で買い取るよう請求できるが、地主はこれを拒否することができる。
解答
✖ 建物買取請求権は「形成権」と呼ばれ、借地人が買取を請求した時点で、地主の承諾の有無にかかわらず自動的に時価での売買契約が成立します。地主は買取を拒否することができません。
第5問(債務不履行と建物買取請求権) 借地権者が地代の支払いを怠ったことによる債務不履行を理由として借地契約が解除された場合、借地権者は建物買取請求権を行使することができない。
解答
〇 建物買取請求権は、期間満了によって契約が終了した場合に借地人を保護する権利です。借地人の地代不払いなど、債務不履行(契約違反)を理由に解除された悪質な場合には行使できません。
第6問(建物の滅失と借地権) 借地権の当初の存続期間中に、借地上の建物が火災等によって滅失した場合、借地権はそれに伴い消滅する。
解答
✖ 借地権の存続期間中に建物が滅失しても、借地権自体は消滅しません。なお、借地人が地主の承諾を得て残存期間を超えて存続する建物を再築した場合は、期間が延長されるルールがあります。
第7問(一般定期借地権の方式) 存続期間を50年以上とする一般定期借地権を設定する場合、契約は必ず公正証書によって締結しなければならない。
解答
✖ 一般定期借地権(存続期間50年以上)は、「書面」で契約を締結すれば有効に成立します。事業用定期借地権とは異なり、必ずしも公正証書で作成する必要はありません。
第8問(事業用定期借地権の要件) 専ら事業の用に供する建物の所有を目的とする事業用定期借地権は、存続期間を10年以上50年未満として設定でき、必ず公正証書によって契約しなければならない。
解答
〇 事業用定期借地権は、居住用を含まない事業用建物に限定され、期間は10年以上50年未満です。また、一般定期借地権と異なり、必ず「公正証書」で契約しなければ無効となります。
第9問(借地権の譲渡許可) 借地権者が建物を第三者に譲渡しようとする場合において、地主が借地権の譲渡を承諾しないときは、借地権者は裁判所に対して地主の承諾に代わる許可を申し立てることができる。
解答
〇 借地権の譲渡や転貸には地主の承諾が必要ですが、地主が不当に承諾しない場合、借地人は裁判所に対して「地主の承諾に代わる許可」を求めることができます。
第10問(借地権の対抗力) 借地権の登記がなくても、借地権者が借地上の建物について自己名義の所有権保存登記を備えていれば、その土地の新たな取得者に対して借地権を対抗することができる。
解答
〇 借地権は土地の賃借権の登記がなくても、その土地上にある建物に借地人「自己名義」の登記があれば、第三者(新しい土地の所有者など)に対して借地権を主張(対抗)することができます。
第1問(借家権の対抗要件) 建物の賃貸借において、賃借権の登記がなくても、建物の引渡しを受けていれば、その後その建物を取得した第三者に対して賃借権を対抗することができる。
解答
〇 借地借家法では、建物の賃借人は、賃借権の登記がなくても、その「建物の引渡し(鍵の受け渡しなど)」を受けていれば、新所有者などの第三者に対して自己の賃借権を主張(対抗)することができます。
第2問(存続期間と1年未満の契約) 建物の賃貸借契約において、存続期間を6ヶ月と定めた場合、その契約は無効となり、期間を1年と定めたものとみなされる。
解答
✖ 期間を「1年未満」と定めた建物の賃貸借契約は、無効や1年になるのではなく「期間の定めのない建物の賃貸借」とみなされます。なお、借家契約の存続期間に上限はありません(民法の原則は50年)。
第3問(更新拒絶の正当事由) 期間の定めがある建物の賃貸借において、賃貸人が更新を拒絶するためには、期間満了の1年前から6ヶ月前までに通知をすればよく、正当事由は不要である。
解答
✖ 賃貸人から更新を拒絶するには、期間満了の1年前から6ヶ月前までの通知に加え、賃貸人が建物を必要とする事情などの「正当事由」が必要です。通知と正当事由の両方が揃わなければ更新拒絶はできません。
第4問(期間の定めのない契約の解約) 期間の定めのない建物の賃貸借において、賃貸人が解約の申入れをした場合、正当事由を備えていれば、解約の申入れの日から3ヶ月を経過することによって契約は終了する。
解答
✖ 期間の定めのない契約において、賃貸人からの解約申入れにより契約が終了するのは、正当事由を備えた上で解約の申入れをした日から「6ヶ月」を経過したときです(借主からの申入れの場合は3ヶ月経過時)。
第5問(造作買取請求権の特約) 賃貸人の同意を得て建物に付加したエアコン等の造作について、賃貸借契約の終了時に賃借人が買取りを請求できない旨の特約は、賃借人に不利であるため無効となる。
解答
✖ 造作買取請求権については、賃借人に不利な特約であっても「有効」となります。したがって、あらかじめ契約で「造作買取請求権を排除する(買い取らない)」旨の特約を定めておくことが可能です。
第6問(賃料増減額請求権の特約) 建物の借賃が近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となった場合であっても、「一定期間は賃料を減額しない」旨の特約があるときは、賃借人は賃料の減額を請求できない。
解答
✖ 賃料「増額」をしない特約は有効ですが、賃借人に不利となる賃料「減額」をしない特約は無効となります(借地借家法の強行規定)。したがって、減額しない特約があっても賃借人は減額請求が可能です。
第7問(定期建物賃貸借の契約方式) 定期建物賃貸借契約を締結する際、契約は公正証書による等書面によってしなければならないが、契約締結前の事前説明については口頭で行ってもよい。
解答
✖ 定期建物賃貸借は「公正証書による等書面」で契約することに加え、契約締結前にあらかじめ「更新がなく期間満了で終了する」旨を記載した『書面を交付して』説明しなければなりません。口頭説明はNGです。
第8問(定期建物賃貸借の中途解約) 床面積が200平方メートル未満の居住用建物に関する定期建物賃貸借契約において、転勤等のやむを得ない事情があれば、賃借人は中途解約の申入れをすることができる。
解答
〇 床面積200㎡未満の居住用建物に限り、転勤や療養などやむを得ない事情で生活の本拠として使用できなくなった場合、特約がなくても賃借人から中途解約の申入れが可能です(申入れから1ヶ月経過で終了)。
第9問(定期建物賃貸借の終了通知) 存続期間が1年以上の定期建物賃貸借において、賃貸人は、期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に終了する旨の通知をしなければ、賃借人に契約の終了を対抗できない。
解答
〇 期間が1年以上の定期建物賃貸借では、賃貸人は期間満了の1年前から6ヶ月前までに「終了の通知」をする必要があります。通知を忘れた場合、通知をした日から6ヶ月経過するまで賃借人を追い出せません。
第10問(合意解除と転借人) 賃貸人が賃借人の債務不履行を理由に賃貸借契約を解除した場合、賃貸人は、その旨を転借人に通知しなければ、転借人に対して建物の明渡しを請求することができない。
解答
✖ 賃貸人と賃借人が「合意解除」した場合は転借人を追い出せませんが、「債務不履行(家賃滞納など)」による解除の場合は、転借人に通知しなくても当然に建物の明渡しを請求することができます。
区分所有法・不動産登記法
分譲マンション特有のルール(専有部分と共用部分、集会での決議要件など)と、不動産登記簿の仕組みについてです。 ▼ポイント: 集会の決議要件(過半数、3/4以上、4/5以上)は、どの議題がどの割合に該当するのかを正確に暗記しましょう。
第1問(持分の処分) 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、自己の持分を第三者に譲渡したり、自己の持分に抵当権を設定したりすることはできない。
解答
✖ 各共有者は、自己の持分を完全に独立した所有権のように扱うことができます。したがって、他の共有者の同意を得ることなく、自由に自己の持分を譲渡したり、抵当権を設定したりすることが可能です。
第2問(共有物の使用) 各共有者は、自己の持分の割合に応じて共有物の一部のみを使用することができ、共有物の全部を使用することはできない。
解答
✖ 各共有者は、自己の持分の割合に応じて、共有物の「全部」を使用することができます。物理的に一部だけを切り分けるのではなく、全体を利用する権利があります。なお、単独で占有使用する場合は他者への対価の支払いが必要です。
第3問(共有物の保存行為) 共有物の雨漏りの修繕や、不法占拠者に対する明渡請求など、共有物の保存行為については、各共有者が単独で行うことができる。
解答
〇 共有物の現状を維持するための「保存行為」は、他の共有者にとっても利益となるため、各共有者が単独で行うことができます。雨漏りの修理、腐敗した建物の修繕、不法占拠者への返還請求などがこれに該当します。
第4問(共有物の管理行為) 共有物を第三者に賃貸するなど、共有物の管理に関する事項は、共有者の人数の過半数で決定しなければならない。
解答
✖ 共有物の管理行為(賃貸借契約の締結や解除など)は、共有者の「人数」の過半数ではなく、各共有者の「持分の価格」の過半数で決定します。持分を多く持っている人の意見がより強く反映される仕組みです。
第5問(共有物の変更行為) 共有物である土地に建物を新築したり、共有物全体を第三者に売却したりするなどの変更・処分行為は、共有者全員の同意がなければ行うことができない。
解答
〇 共有物の形状や性質を大きく変える「変更行為」(大規模な造成など)や、共有物全体の「処分行為」(売却や全体への抵当権設定など)を行うには、他の共有者の権利に重大な影響を及ぼすため、共有者全員の同意が必要です。
第6問(持分の放棄と相続人不在) 共有者の一人がその持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がいないときは、その持分は国庫に帰属する。
解答
✖ 共有者の一人が持分を放棄したり、相続人がいないまま死亡したりした場合、その持分は他の共有者に、それぞれの持分の割合に応じて帰属します。直ちに国庫(国)の財産になるわけではありません。
第7問(共有物の管理費用の負担) 各共有者は、その持分に応じ管理費用を支払いその他共有物に関する負担を負うが、1年以内にその義務を履行しない場合、他の共有者は相当の償金を支払ってその者の持分を取得できる。
解答
〇 管理費用などは持分に応じて負担します。もし共有者の一人がこの義務を1年以内に履行(支払い)しない場合、他の共有者は適正な対価(相当の償金)を支払うことで、その滞納者の持分を強制的に取得できます。
第8問(共有物の分割請求) 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができるが、当事者間の契約により、5年を超えない期間内であれば、分割をしない旨の特約を結ぶことができる。
解答
〇 共有状態の解消(分割請求)は原則としていつでも自由にできます。ただし、当事者間の合意によって「5年以内」の期間を定めて分割を禁止する特約(不分割特約)を結ぶことは有効とされており、更新も可能です。
第9問(所在等不明共有者がいる場合の変更) 共有者の中に所在が不明な者がいる場合、他の共有者は裁判所の決定を得たとしても、その者以外の共有者全員の同意で共有物に変更を加えることはできない。
解答
✖ 民法改正により、所在不明の共有者がいる場合でも、他の共有者が裁判所に請求し決定を得ることで、所在不明者以外の共有者「全員の同意」によって、共有物全体に変更を加えることが可能になりました。
第10問(共有物の管理者) 共有物の管理者は、共有者の持分の過半数で選任することができ、選任された管理者は、共有者の同意を得ることなく、共有物に変更を加えることができる。
解答
✖ 民法改正で新設されたルールです。管理者の選任は持分の過半数で可能ですが、管理者が共有物に「変更」を加える行為(形状の著しい変更など)を行うには、原則として共有者全員の同意を得る必要があります。
第1問(専有部分と共用部分の分離処分) 区分所有者は、規約に別段の定めがない限り、その有する専有部分とその専有部分に係る共用部分の持分とを分離して処分することができる。
解答
✖ 区分所有者は、規約に別段の定めがある場合を除き、専有部分と共用部分の持分を分離して処分(売却など)することはできません。マンションの権利関係が複雑になるのを防ぐための大原則です。
第2問(共用部分の登記) エントランスホールや階段室などの法定共用部分は、その旨を登記しなければ第三者に対抗できないが、管理員室などの規約共用部分は登記なくして第三者に対抗できる。
解答
✖ 逆です。エントランス等の「法定共用部分」は構造上当然に共用部分となるため登記は不要(できません)が、管理員室や集会室などの「規約共用部分」は、その旨を登記しなければ第三者に対抗できません。
第3問(敷地利用権の分離処分) 区分所有者は、規約に別段の定めがある場合を除き、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。
解答
〇 専有部分と敷地利用権(土地を使う権利)は、原則として分離して処分(売却等)することが禁止されています。ただし、共用部分の持分とは異なり、規約で別段の定めをすれば分離処分も可能です。
第4問(管理者の資格) 区分所有者の集会において管理者を選任する場合、管理者は区分所有者の中から選任しなければならず、区分所有者以外の第三者を管理者に選任することはできない。
解答
✖ 管理者(マンションの理事長など)の資格について、区分所有法には制限がありません。したがって、規約に別段の定めがない限り、区分所有者以外の第三者(マンション管理業者や専門家など)を選任することも可能です。
第5問(集会の招集通知の期間) 集会の招集の通知は、会日より少なくとも1週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならないが、この期間は規約で伸縮することができる。
解答
〇 集会の招集通知は、原則として会日の「1週間前」までに発する必要があります。ただし、この期間は規約で長くしたり短くしたり(伸縮)することが可能です(建替え決議の集会を除く)。
第6問(集会の普通決議) 集会の議事は、区分所有法又は規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の各過半数で決する。
解答
〇 集会の決議の原則(普通決議)は、区分所有者(頭数)および議決権(持分)の「各過半数」で決定します。管理者の選任・解任や、共用部分の軽微な変更などは、この普通決議で行われます。
第7問(共用部分の重大な変更決議) 共用部分の形状又は効用の著しい変更を伴う重大な変更を行う場合、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議が必要である。
解答
〇 エレベーターの増設など、共用部分の「重大な変更」を行うには、区分所有者および議決権の「各4分の3以上」の特別決議が必要です。ただし、区分所有者の定数(頭数)のみ、規約で過半数まで減らせます。
第8問(規約の設定・変更・廃止) 規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議によって行うが、一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。
解答
〇 規約の設定・変更・廃止には、区分所有者および議決権の「各4分の3以上」の特別決議が必要です。さらに、店舗を居住用に制限するなど、特定の区分所有者に特別の影響を及ぼす場合は、その者の承諾が必要です。
第9問(建替え決議の要件) 建物の建替え決議を行うには、集会において、区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数による決議が必要であり、この要件は規約で緩和することができる。
解答
✖ 建替え決議には、区分所有者および議決権の「各5分の4以上」という非常に厳格な特別決議が必要です。個人の財産権を奪う重大な決議であるため、この要件を規約で緩和(減らす)ことは一切できません。
第10問(専有部分の使用禁止請求) 区分所有者が建物の保存に有害な行為をした場合、他の区分所有者の全員は、集会において区分所有者及び議決権の各過半数の決議があれば、その者に対し専有部分の使用禁止を請求することができる。
解答
✖ 専有部分の使用禁止請求という強力な措置を行うには、集会において区分所有者および議決権の「各4分の3以上」の特別決議が必要です。過半数の普通決議では行うことができません。
その他重要項目
第1問(不法行為の消滅時効) 不法行為による損害賠償請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは時効により消滅するが、人の生命又は身体を害する不法行為については、この期間が5年間となる。
解答
〇 不法行為の消滅時効は原則として損害・加害者を知った時から3年ですが、生命・身体の侵害による場合は被害者保護のため5年となります。なお、不法行為の時から20年経過した場合も時効により消滅します。
第2問(使用者責任と求償権) 被用者が事業の執行について第三者に損害を与え、使用者が被害者に対してその損害を賠償した場合、使用者は被用者に対して、賠償した損害の全額について求償することができる。
解答
✖ 使用者が被害者に賠償した場合、被用者に対して求償(立て替えた分の請求)は可能ですが、全額ではありません。事業の性格や被用者の業務内容などを考慮し、信義則上「相当と認められる限度」に制限されます。
第3問(工作物責任) 土地の工作物の設置又は保存の瑕疵によって他人に損害を生じた場合、まずは工作物の所有者が損害賠償責任を負い、所有者が損害の発生を防止するため必要な注意をしていた場合に限り、占有者が責任を負う。
解答
✖ 責任を負う順序が逆です。まずは工作物の「占有者」が責任を負い、占有者が必要な注意をしていた場合に「所有者」が責任を負います。なお、所有者の責任は無過失責任であり、注意していても免れることはできません。
第4問(共同不法行為) 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えた場合、各加害者は被害者に対して、それぞれの過失割合に応じた損害賠償責任のみを負う。
解答
✖ 共同不法行為の場合、各加害者は被害者に対して損害の「全額」について連帯して賠償する責任を負います(連帯債務となります)。加害者間での過失割合に応じた負担は、後で内部的に解決(求償)すべき問題です。
第5問(不法行為における過失相殺) 不法行為において被害者にも過失があった場合、裁判所は、損害賠償の額を定めるに当たり、必ずこれを斟酌(考慮)して賠償額を減額しなければならない。
解答
✖ 債務不履行の過失相殺では「必ず」減額しなければなりませんが、不法行為の過失相殺では、裁判所は被害者の過失を斟酌「することができる」にとどまります。加害者の行為が極めて悪質な場合などを考慮するためです。
第1問(請負人の契約不適合責任) 請負人が引き渡した仕事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合、注文者は請負人に対し、目的物の修補、報酬の減額、契約の解除、又は損害賠償の請求をすることができる。
解答
〇 民法改正により、請負の瑕疵担保責任は売買の「契約不適合責任」のルールに統一されました。したがって、注文者は不適合を知った時から1年以内に通知すれば、修補、減額、解除、損害賠償を請求できます。
第2問(請負契約の注文者からの解除) 請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して請負契約の解除をすることができる。
解答
〇 請負人が仕事を完成させる前であれば、注文者はいつでも損害を賠償して契約を解除できます。注文者にとって不要になった目的物を無理に完成させる必要はないからです。
第3問(請負の報酬支払時期) 請負契約において、仕事の目的物の引渡しを要する場合、注文者は、仕事の完成と同時に報酬を支払わなければならない。
解答
✖ 仕事の目的物の引渡しを要する場合、報酬の支払いは「仕事の完成と同時」ではなく「目的物の引渡しと同時」にする必要があります。引渡しを要しない場合(清掃作業など)は、仕事の完成時に支払います。
第4問(請負人の割合的報酬請求権) 請負人が仕事を完成する前に注文者の責めに帰することができない事由で完成不能となった場合、請負人は、既にした仕事の結果により注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求できる。
解答
〇 民法改正で明文化されたルールです。仕事が途中で終了しても、すでに完成した部分があり、注文者がそこから利益を受ける状態であれば、請負人はその利益の割合に応じた報酬を請求できます。
第5問(委任契約の性質と報酬) 委任契約は、当事者の合意のみで成立する諾成契約であり、原則として無償契約であるため、特約がなければ受任者は報酬を請求することができない。
解答
〇 委任契約は原則として無償です。そのため、受任者が報酬を得るためには「有償とする旨の特約」が必要です。ただし、宅建業者のように商人が業務として引き受ける場合は、特約がなくても報酬を請求できます。
第6問(受任者の注意義務) 無報酬で委任を受けた受任者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。
解答
✖ 委任契約の受任者は、有償・無償を問わず、常に「善良な管理者の注意義務(善管注意義務)」を負います。無報酬であっても、「自己の財産に対するのと同一の注意」よりも重い注意義務が求められます。
第7問(委任契約の解除) 委任契約は、各当事者がいつでもその解除をすることができるが、相手方に不利な時期に解除したときは、やむを得ない事由がある場合を除き、相手方の損害を賠償しなければならない。
解答
〇 委任契約は当事者間の信頼関係に基づくため、双方からいつでも解除可能です。ただし、相手方に不利な時期に解除した場合や、受任者の利益を目的とする委任を解除した場合は、損害賠償責任を負うことがあります。
第8問(復受任者の選任) 受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任して事務を処理させることができない。
解答
〇 受任者は、委任者から個人的に信頼されて事務を任されているため、原則として自ら処理しなければなりません。委任者の許諾がある場合や、病気などやむを得ない事由がある場合に限り、他人に任せることができます。
第9問(委任の終了事由) 委任者又は受任者が死亡した場合のほか、委任者が破産手続開始の決定を受けた場合も、委任契約は終了する。
解答
〇 委任の終了事由には、当事者双方の「死亡」と「破産手続開始の決定」があります。また、受任者が「後見開始の審判」を受けた場合も終了しますが、委任者が受けた場合は終了しない点に注意が必要です。
第10問(委任契約における費用前払請求権) 受任者は、委任事務を処理するのに費用を要するときは、委任者に対し、その費用の前払いを請求することができる。
解答
〇 委任事務の処理に交通費や手数料などの費用がかかる場合、受任者がそれを立て替える義務はありません。そのため、受任者は委任者に対して、必要となる費用の前払いを請求することが認められています。
第1問(譲渡制限特約の効力) 当事者間で譲渡を禁止する旨の特約がある債権が第三者に譲渡された場合、その譲受人が特約の存在を知っていたとしても、債権譲渡自体は有効である。
解答
〇 民法改正により、譲渡制限特約が付いた債権の譲渡も原則として有効となりました。ただし、譲受人が特約を知っていた(悪意)か重大な過失があった場合、債務者はその譲受人からの支払請求を拒絶することができます。
第2問(債務者に対する対抗要件) 債権を譲り受けた者が債務者に対して自己へ支払うよう主張するためには、譲受人から債務者に対して債権譲渡の通知をしなければならない。
解答
✖ 債権譲渡を債務者に対抗(主張)するための通知は、「譲渡人」から債務者に行う必要があります。権利を失う元の債権者からの通知でなければ、債務者が誰に支払えばよいか判断できず混乱を防げないためです。
第3問(第三者に対する対抗要件) 債権が二重に譲渡された場合、譲受人同士の優劣は、確定日付のある証書による通知が債務者に到達した日時の先後によって決まる。
解答
〇 債権の二重譲渡における第三者への対抗要件は「確定日付のある証書(内容証明郵便など)による通知または承諾」です。両者がこれを備えている場合、その通知が「債務者に到達した日時の早い遅い」で優劣が決まります。
第4問(債務者の抗弁の主張) 債務者は、債権譲渡の通知を受ける前に譲渡人に対して生じていた相殺などの事由をもって、譲受人に対抗することができる。
解答
〇 債務者は、譲渡の通知を受けるか承諾をする「前」に譲渡人に対して生じていた事由(すでに支払った、相殺できるなど)があれば、それを譲受人にも主張(対抗)して支払いを拒むことができます。
第5問(将来債権の譲渡) 債権譲渡の対象となる債権は、譲渡の時点で既に発生している必要があり、将来発生する予定の債権を譲渡することはできない。
解答
✖ 民法改正により、将来発生する債権であっても、種類や発生期間などを特定して譲渡の対象とすることが明文化されました。譲渡時に債権が未発生でも有効であり、発生した時点で譲受人が当然に権利を取得します。
第1問(囲繞地通行権の場所と方法) 他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を自由に選んで通行することができる。
解答
✖ 囲繞地通行権(公道に出るための通行権)は認められますが、「自由に」選べるわけではありません。通行の場所や方法は、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければなりません。
第2問(分割等による無償通行権) 共有物の分割によって公道に通じない土地が生じた場合、その土地の所有者は、公道に至るために他の分割者の土地を無償で通行することができる。
解答
〇 土地の分割や一部譲渡によって袋地(公道に通じない土地)が生じた場合、その袋地の所有者は、公道に出るために他の分割者などの土地のみを、無償で通行することができます。
第3問(越境した竹木の枝の切除) 隣地の竹木の枝が境界線を越えて自分の土地に侵入してきた場合、土地の所有者は、自らその枝を切り取ることができるのが原則である。
解答
✖ 枝が越境した場合、原則として隣地所有者に切除を「請求」できるにとどまります。※法改正により、催告しても切らない場合や急迫の事情がある等の例外的な場合には、自ら切り取ることが可能になりました。
第4問(越境した竹木の根の切除) 隣地の竹木の根が境界線を越えて自分の土地に侵入してきた場合、土地の所有者は、隣地所有者の承諾を得ることなく、自らその根を切り取ることができる。
解答
〇 枝とは異なり、境界線を越えて侵入してきた竹木の「根」については、隣地所有者に切除を請求する必要はなく、所有者自らが自由に切り取ることができます。
第5問(境界標の設置費用と測量費用) 隣接する土地の所有者は、共同の費用で境界標を設けることができるが、その設置費用及び測量費用は、常に折半して負担しなければならない。
解答
✖ 境界標の「設置費用」や維持費用は、原則として隣地所有者と折半(半分ずつ)して負担します。しかし、「測量費用」については折半ではなく、それぞれの土地の面積の割合に応じて負担します。
代位、詐害行為、贈与、地役権、占有権、地上権
第1問(債権者代位権の行使要件) 債権者代位権を行使するためには、原則として自己の債権が履行期にある必要があるが、未登記の権利の登記など保存行為については履行期前でも代位行使できる。
解答
〇 債権者代位権は原則として自己の債権の履行期が到来していなければ行使できませんが、債務者の財産を現状維持するだけの「保存行為」であれば、例外的に履行期前でも行使することが認められています。
第2問(代位行使の対象となる権利) 債権者は、債務者の有する慰謝料請求権など、債務者の一身に専属する権利であっても、自己の債権を保全するために代位行使することができる。
解答
✖ 債務者の一身に専属する権利(慰謝料請求権や扶養を請求する権利など)は、債務者本人の意思が極めて強く尊重されるべき性質のものであるため、債権者が勝手に代位行使することはできません。
第3問(詐害行為取消権の行使方法) 詐害行為取消権は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを、裁判上または裁判外のどちらの方法でも請求することができる。
解答
✖ 詐害行為取消権の行使は、取引の相手方や第三者の安全に重大な影響を及ぼすため、必ず「裁判上」の請求(訴えの提起)によってのみ行使することができ、裁判外で内容証明郵便等を送るだけでは行使できません。
第4問(詐害行為取消権の被保全債権) 詐害行為取消権を行使するためには、保全されるべき債権が、詐害行為とみなされる行為の前に発生している必要がある。
解答
〇 詐害行為取消権は、既存の債権者を害する債務者の財産隠しなどを取り消す制度です。したがって、取り消しの対象となる行為の「前」に発生した債権でなければ、保全の対象とはなりません。
第5問(書面によらない贈与の撤回) 書面によらない贈与契約は、各当事者がいつでも撤回することができるが、すでに履行が終わった部分については撤回することができない。
解答
〇 口約束による贈与は、軽率な約束を防ぐためいつでも撤回可能ですが、引渡しや登記の移転など、すでに「履行が終わった部分」については、法的安定性を重んじて撤回できなくなります。
第6問(贈与者の引渡し義務) 贈与者は、特約がない限り、贈与の目的物である特定物について、引渡し時の現状のままで引き渡す義務を負い、瑕疵があっても原則として担保責任を負わない。
解答
〇 無償契約である贈与では、贈与者は目的物を「引渡し時の現状のまま」引き渡せば足り、原則として契約不適合責任を負いません。ただし、不適合を知りながら受贈者に告げなかった場合は責任を負います。
第7問(地役権の付従性) 地役権は、要役地(便益を受ける土地)から分離して、地役権のみを独立して第三者に譲渡したり、他の権利の目的にしたりすることはできない。
解答
〇 地役権は要役地の便益のための権利(付従性)であるため、要役地から切り離して地役権だけを売却したり、抵当権を設定したりすることはできません。要役地の所有権が移転すれば地役権も一緒に移転します。
第8問(地役権の時効取得) 地役権は、継続的かつ表現のものに限らず、外形上認識できないものであっても、一定期間平穏かつ公然に行使すれば時効によって取得することができる。
解答
✖ 地役権を時効取得できるのは、「継続的かつ表現のもの(自ら通路を開設している通行地役権など)」に限られます。外から見て権利の存在が分からないものは、時効によって取得することはできません。
第9問(承役地所有者の義務免除) 承役地(便益を提供する土地)の所有者は、いつでも地役権に必要な工作物の設置費用を負担し、かつ、その土地の所有権を地役権者に移転して義務を免れることができる。
解答
〇 承役地の所有者が、契約等により地役権者のために工作物を設置・修繕する義務を負っている場合、その部分の土地の所有権を地役権者に委棄(放棄して移転)することで、その義務を免れることができます。
第10問(占有回収の訴えの期間制限) 占有者が占有物を奪われた場合、占有回収の訴えを提起してその物の返還を請求することができるが、この訴えは占有を奪われた時から1年以内に提起しなければならない。
解答
〇 占有回収の訴えは、占有を奪われた(盗まれた等)場合に提起できます。ただし、事実状態を早期に確定させるため、「占有を奪われた時から1年以内」に訴えを提起する必要があります。
第11問(他主占有の意義) 占有者が他人の物を賃借して占有している場合、その占有は自主占有にあたり、所有の意思があるものと推定される。
解答
✖ 賃借人や受置人など、他人の所有権を前提として物を占有している状態は「他主占有」と呼ばれます。所有の意思をもってする占有(自主占有)には当たりません。
第12問(占有保持と占有保全の訴え) 占有者がその占有を妨害される危険がある場合、占有保持の訴えにより、その妨害の予防又は損害賠償の担保を請求することができる。
解答
✖ 妨害の「危険」がある場合に提起するのは「占有保全の訴え」です。すでに妨害「されている」場合に、妨害の停止及び損害賠償を請求するのが「占有保持の訴え」であり、両者は区別されます。
第13問(地上権の成立要件) 地上権は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利であり、地代の支払いは地上権の成立要件である。
解答
✖ 地上権は他人の土地を使用する強力な物権ですが、「地代の支払い」は成立要件ではありません。特約で無償とすることも可能であり、有償とする特約を結んだ場合のみ地代の支払い義務が生じます。
第14問(地上権の譲渡・担保化) 地上権者は、土地所有者の承諾を得ることなく、その権利を第三者に譲渡したり、地上権に抵当権を設定したりすることができる。
解答
〇 地上権は物権であり、排他的かつ強力な権利です。賃借権とは異なり、地主(土地所有者)の承諾がなくても、自由に第三者へ譲渡したり、抵当権の対象としたりすることができます。
第15問(有償の地上権の放棄) 存続期間の定めのない地上権について、当事者が地代を支払う旨の約定をした場合でも、地上権者はいつでも権利を放棄することができる。
解答
✖ 地代の支払い義務がある場合、存続期間の定めがなくても、地上権者は「1年前の予告」または「1年分の地代の支払い」をしなければ、地上権を放棄することができません。地主の利益を保護するためです。
コラム:なぜ宅建実務において「権利関係」の知識が重要なのか?
宅建試験の勉強をしていると、「こんな細かい法律知識、合格したら忘れてもいいのでは?」と思うかもしれません。しかし、弁護士の立場から言わせていただくと、**権利関係の知識は、実務においてあなたを守る最大の「防具」**になります。
不動産取引は動く金額が数千万円〜数億円と非常に大きく、少しのミスが致命的なトラブルに発展します。 例えば、重要事項説明(重説)において、抵当権の有無や私道の通行権(地役権)などについて説明を漏らしたり、誤った法解釈を伝えたりすれば、後日「説明義務違反」として多額の損害賠償を請求されるリスクがあります。
また、特約条項(契約書の備考欄に書く特別な約束事)を作成する際にも、「この特約は民法の強行法規(絶対守らなければならないルール)に反していないか?」を自ら判断できなければなりません。
権利関係の勉強は、単なる試験対策ではありません。「お客様に安全な取引を提供し、プロフェッショナルとしての信頼を築くための土台作り」なのです。ぜひ、実務で契約書を読み込む自分を想像しながら学習を進めてみてください。
まとめ:権利関係は「図解」と「過去問」で制覇しよう
権利関係(民法)は、最初はとっつきにくく感じるかもしれませんが、一度「法律的な考え方(リーガルマインド)」を身につけてしまえば、暗記量が少なくとも正解を導き出せるようになります。
- 常に図を書いて関係性を整理する
- 原則と例外を意識する
- 頻出の過去問を繰り返し解く
この3つを徹底し、権利関係を得点源に変えていきましょう!
